裁判は、病院側に責任があるかどうかを裁判所に判断してもらう手続です。
最終的にそれを決める(「判決」)のは裁判官ですが、裁判官が自ら、警察のように調べてくれるわけではなく、原告、被告双方から提出された資料を基に判断されます。
また、判決までいかずに「裁判上の和解」により解決に至ることもあります。
これは、裁判官が間に入る和解手続です。実際に行われることは調停に似ているのですが、間に入るのが裁判官であること、和解に応じない場合にはリスクがある(注)こと、等の点で大きく異なります。
(注)調停の場合は、合意に至らず調停不成立になっても、現状そのままです。他方、裁判上の和解が成立しないと、判決になります。判決は、ある程度の見通しは立つとはいえ、ふたを開けてみないとわかりませんから、双方が敗訴のリスクを負います。
和解で終わった場合は、和解内容に従った金銭の支払等があれば、事件としては終わりとなります。
他方、判決で終わった場合は、不服がある側は控訴することができます。どちらか一方でも控訴すれば、裁判は、高等裁判所に場所を移して続きます。こちらは早く終わらせたくて控訴しなくても、病院側が控訴することがあります。
医療裁判の進み方は、事案によって様々で、一般的なこと、平均的なことをご説明するのは非常に難しいです。
以下、よくお尋ねいただく事項について、ご説明します。
事件によって本当に様々で、かなり幅がありますが、提訴から1年以内に終わる事件はほとんどないと思われます。
他方、どちらかが控訴して控訴審(高裁)にあがった場合でも、合計で5年以上かかることはあまりないと思われます。
以前は、10年越しの医療裁判などがありましたが、かなり促進が図られてきており、現在ではそのようなことはほとんどありません。
費用については、詳細はこちらをご覧ください。
示談や調停と一番違うのは、鑑定費用のご負担です。
裁判では、ご依頼者様に裁判所に来ていただくことはほとんどありません。
裁判はほぼ一ヶ月に一回程度の頻度で行われますが、ほとんど弁護士のみが行きます。裁判所に提出する書面も弁護士が作成します。
ご依頼者様ご本人に裁判所へ行っていただくことがあるとすれば、「尋問」の場合です。
これは、問題となる医療行為があった当時のこと等について、双方代理人と裁判所からお訊きする手続きです。
同じ人に複数回、尋問することは稀ですので、尋問のとき1回のみ裁判所にお越しいただくことになります。
ただし、全ての事件について尋問があるわけではありません。
なお、上記のご説明は裁判所への出頭についてです。弁護士との打ち合わせは随時必要です。どの程度必要かは、事案によります。
ご本人様の記憶されている事実経過が非常に重要な意味を持つ場合は、頻繁な打ち合わせが必要です。他方、事実経過にはほとんど争いがなく、その評価(適切であったかどうかetc)が主な争点である場合は、打ち合わせの頻度は少なくなるかと存じます。
いずれにしても、裁判期日ごとに弁護士から報告をいたします。
事案によります。
民事事件全体の原告勝訴率と比べると、医療事件の原告勝訴率は低いです。
ただ、昔に比べれば上がってきています。
判決結果を予測することは難しいですが、その都度、状況や流れ、見通しをご説明させていただきます。
事案によります。
見通しが明るくない事件につきましては、訴訟をすることによるご依頼者様の精神的負担、金銭的負担が相当のものとなりますので、訴訟することをお勧めできない場合もあります。
(訴訟をする過程でさらに傷を負い、かつ得るものが何もないということになりかねません。)
ただ、医療被害に遭ったことに対して、どのように納得し、どのように心の中で折り合いをつけて前に進めるようになるか、は、人それぞれ千差万別です。そのため、総合的に考慮して、見込みが薄くても提訴する場合もあります。
じっくりご相談させていただきます。